職業訓練で税理士は目指せる|訓練の倍率やコース一覧についても紹介
ハローワークの職業訓練には、税理士の資格取得を目指せる講座があります。
ただし、職業訓練を受講するだけでは税理士の資格は取得できません。
これから、職業訓練を利用して税理士を目指すためには、資格取得に関する条件を把握することが必要です。
また、職業訓練の種類によっても学習できる内容や期間が異なるため、挫折しないように自分の状況に合わせた訓練の選択も重要になります。
そこで本記事では、税理士になるための条件や資格取得に活かせる職業訓練の種類を詳しく解説していきます。
記事を読むと、教育訓練給付制度を利用して有料講座を受講する方法もわかるので、ぜひ参考にしてください!
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目次
職業訓練では税理士になるために一部の基礎知識が学べる
ハローワークの職業訓練には「求職者支援訓練」と「公共職業訓練」の2種類があります。
選択する職業訓練によって学習できる内容や通学期間が異なるため、以下の3つの項目を見ていきましょう。
- 求職者支援訓練では経理の基礎が学べる
- 公共職業訓練の長期高度人材育成コース(※)なら訓練期間が2年ある
- 教育訓練給付制度なら有料講座の受講費用が一部支給される
有料講座の受講費用が一部支給される教育訓練給付制度についても解説するので、参考にしてください。
(※)長期高度人材育成コースは専門人材育成訓練とも呼ばれます。
求職者支援訓練では経理の基礎が学べる
求職者支援訓練とは、原則として失業保険の受給資格がない人を対象にした職業訓練のことです。
訓練を受講する条件は、以下のとおりになります。
- ハローワークに求職申込していること
- 雇用保険被保険者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- ハローワークに職業訓練の必要性を認められること
参考:求職者支援制度のご案内
参考:求職者の皆様へ
求職者支援訓練では、税理士を目指す上で基礎になる経理や会計に関連した講座を2〜6カ月の期間で学べます。
職業訓練を利用して未経験から税理士を目指したいと考えている人は、短期間で経理や会計の基礎が学べる求職者支援訓練の講座がおすすめです。
オンラインで求職者支援訓練を受講できる「ジョブトレ」でも、事務担当者育成科で経理の基礎が身につきます。
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公共職業訓練の長期高度人材育成コースなら訓練期間が2年ある
公共職業訓練とは、原則として失業保険を受給している人を対象にした職業訓練のことです。
税理士を目指す専門講座は、公共職業訓練の「長期高度人材育成コース」で受講できます。
長期高度人材育成コースとは、公共職業訓練の中でも1〜2年と長期にわたる期間で、国家資格や専門スキルの取得が目指せる訓練です。
長期高度人材育成コースを受講する条件は、以下のとおりになります。
- 受講開始日に離職者で、ハローワークに求職申込していること
- 公共職業安定所長の受講指示、または受講推薦を受けていること
- ハローワークの職業相談でジョブカードを活用したキャリアコンサルティングを受けていること
- ハローワークの職業相談で訓練が必要であると認められること
- 受講開始日から遡って1年以内に公共職業訓練または求職者支援訓練(実践コース)を受講していないこと
- 過去に1年以上の公共職業訓練を受講したことがないこと
- 高校卒業以上の学歴があること
長期高度人材育成コースの税理士コースでは、教材費の負担だけで専門学校に2年通えるメリットがあります。
その一方で、税理士コースを開講している地域が限られる点がデメリットです。
税理士コースが開講されている地域や募集期間については「ハローワークインターネットサービス – 職業訓練検索・一覧」から検索できます。
教育訓練給付制度なら有料講座の受講費用が一部支給される
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了したときに、受講費用の一部が支給される制度のことです。
給付金の対象となる訓練には、以下の3種類があります。
訓練の種類 | 給付金の詳細 |
---|---|
専門実践教育訓練 | 6カ月ごとに受講費用の50%(上限40万円)を支給 |
特定一般教育訓練 | 受講費用の40%(上限20万円)を支給 |
一般教育訓練 | 受講費用の20%(上限10万円)を支給 |
教育訓練給付制度の受給条件は、以下の画像を参考にしてください。
税理士に関連する対象の講座については「教育訓練給付制度 検索システム|厚生労働省」から検索できます。
職業訓練を利用して税理士になるために必要な3つの条件
職業訓練を利用して税理士になるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 受験資格を満たすこと
- 5科目の試験に合格すること
- 2年以上の実務経験があること
税理士になるためには必須の条件になるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.受験資格を満たすこと
税理士試験には「会計学に属する科目」と「税法に属する科目」の2種類があります。
「税法に属する科目」を受験するためには、以下の受験資格のいずれかを満たすことが必要です。
【学識による受験資格】
- 司法試験の合格者
- 公認会計士試験における短答試験の合格者(平成18年以降の合格者)
- 大卒または短大卒で社会科学に属する科目の履修者
- 大学3年次以上で社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上の取得者
- 専修学校の専門課程を修了した社会科学に属する科目の履修者
【資格による受験資格】
- 日商簿記検定1級の合格者
- 全経簿記検定上級の合格者(昭和58年度以降の合格者)
【職歴による受験資格者】
- 法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
- 銀行・信託会社・保険会社などで資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者
- 税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事した者
未経験から税理士を目指すなら、まずは日商簿記検定1級の合格を目指すと良いでしょう。
2.5科目の試験に合格すること
税理士になるためには、以下の試験科目から5科目に合格する必要があります。
試験科目の分類 | 試験科目 | 備考 |
---|---|---|
会計学に属する科目 | ・簿記論 ・財務諸表論 | ・2科目とも必修 |
税法に属する科目 | ・所得税法 ・法人税法 ・相続税法 ・国税徴収法 ・消費税法または酒税法 ・住民税または事業税 ・固定資産税 | ・いずれか3科目を選択 ・「所得税法」か「法人税法」のいずれか1科目は必修 |
税理士試験は、一度に5科目を受験する必要はありません。
合格科目は生涯有効になるため、1科目ずつ集中して受験していくことが一般的です。
3.2年以上の実務経験があること
弁護士の資格や公認会計士の資格がない場合、税理士として活動するためには通算して2年以上の実務経験が必要です。
必要となる実務経験の具体例は、以下のとおりになります。
- 税務官公署における事務
- 会社などにおける税務に関する事務
- 会計事務所や税理士事務所の職員
- 一般企業の経理
実務経験を積む時期については特に規定はありません。
そのため、未経験から税理士を目指す人は、職業訓練で一般企業の経理を目指すことも一つの手段です。
一般企業の経理で実務経験を積みながら、教育訓練給付金制度を利用して税理士試験に向けた講座を受講すると効率よく税理士を目指せるでしょう。
求職者支援訓練校の「ジョブトレ」では、自宅からオンラインで経理の基礎が身につけられます。
講座について詳しく知りたい方は「ジョブトレ事務担当者養成科まる分かりガイド〜魅力から受け方までまるっと解説!〜」もぜひご覧ください。
職業訓練の税理士コース一覧
税理士コースがある職業訓練は、公共職業訓練の長期高度人材育成コースです。
全国的に長期高度人材育成コースの税理士コースは「学校法人 大原学園」に委託されています。
ただし、時期によって開校される地域は異なるので、事前に確認が必要です。
令和6年度の開校状況は、以下のとおりになります。
地域 | 開校日 | 募集状況 |
---|---|---|
東京都 | 2024年4月1日 | 募集終了 |
静岡県 | 2024年4月5日 | 募集終了 |
北海道 | 2024年4月3日 | 募集中(2024年2月時点) |
居住している地域で開校されるかどうかは「ハローワークインターネットサービス – 職業訓練検索・一覧」で確認できます。
長期高度人材育成コースが受講できない場合は「教育訓練給付制度」や「求職者支援訓練」の受講も検討してみましょう。
職業訓練で税理士を目指す3つの注意点
職業訓練で税理士を目指すときには、以下の3つの注意点を押さえておきましょう。
- 必ず希望する講座が受講できるとは限らない
- 職業訓練の受講だけで税理士資格は得られない
- 長期高度人材育成コースは受講希望者の倍率が高い
税理士の資格取得までの計画が狂わないように、順番に詳しく解説していきます。
1.必ず希望する講座が受講できるとは限らない
職業訓練を受講するためには、面接や筆記試験を受験する必要があります。
そのため、ハローワークで受講指示を受けても、必ず訓練の選考試験に合格するとは限りません。
また、職業訓練は併願することはできません。希望する講座が受講できるように、事前に職業訓練の試験対策をおこなっておきましょう。
職業訓練の面接や筆記試験について詳しくは「職業訓練の試験はむずかしい?|試験内容と対策法をくわしく紹介」を参考にしてください。
2.職業訓練の受講だけで税理士資格は得られない
職業訓練を受講するだけでは、税理士の資格は取得できません。
税理士を目指すためには、職業訓練で網羅できない科目を自身で学習する必要があります。
職業訓練で学習できる内容の例は、以下のとおりです。
- 簿記の基礎
- 簿記2級・簿記1級
- 簿記論
- 財務諸表論
参考:ハローワークインターネットサービス – 職業訓練検索・一覧
受講する訓練によっても学習できる科目は異なります。自分が受講する訓練ではどこまで網羅できるのか事前に把握しておきましょう。
また、税理士として活動するためには実務経験も通算して2年必要です。
税理士になるために必要な条件について詳しくは「職業訓練を利用して税理士になるために必要な3つの条件」を参考にしてください。
3.長期高度人材育成コースは受講希望者の倍率が高い
長期高度人材育成コースの税理士コースは非常に人気です。
令和5年の東京都の募集では、応募倍率は3.2倍と一番人気の訓練となっています。
参考:過去の応募状況 | 民間教育機関での職業訓練 | TOKYOはたらくネット
そのため、長期高度人材育成コース以外の選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。
税理士を目指すために活かせる他の選択肢については「職業訓練では税理士になるために必要な知識が学べる」を参考にしてください。
FAQよくある質問
税理士試験を受験する以外に税理士資格を得る方法はある?
税理士試験を受験する以外に税理士資格を得る方法は、以下のとおりです。
- 弁護士の資格があること
- 公認会計士の資格があること
- 税理士試験を免除されること
弁護士や公認会計士の資格保有者は、手続きするだけで税理士として活動できます。
また、税理士試験が免除される条件は、以下のとおりです。
免除の対象者 | 免除される内容 |
---|---|
修士または博士の学位を授与された者 | 試験の一部 |
10年または15年以上税務署に勤務した国税従事者 | 税法に属する科目 |
23年または28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者 | 会計学に属する科目 |
税理士試験の免除を受けた者も、通算して2年以上の実務経験が必要になります。
職業訓練の面接に受かりやすい人の特徴はある?
職業訓練の面接に受かりやすい人の特徴は、以下のとおりです。
- 自分の意見をしっかり持つ
- 仕事内容や受講コースの理解を深める
- 就職への意欲を示す
面接対策について詳しく知りたい方は「職業訓練の申し込みの流れ8STEP|申込書の書き方や必要なものも解説」を参考にしてください。
税理士の職業訓練は東京や大阪以外でも受講できる?
税理士コースがある長期高度人材育成コースは、東京や大阪以外でも開講しています。
ただし、時期によって開講している地域が異なる点には注意してください。
自分の地域で開講しているかどうかは「ハローワークインターネットサービス – 職業訓練検索・一覧」から検索できます。
税理士コースの実施がない地域の場合は、求職者支援訓練や教育訓練給付金制度の利用も検討してみましょう。
税理士として活動するには、通算して2年の実務経験が必要です。そのため、求職者支援訓練を活用して一般企業の経理に転職することも一つの選択肢といえます。
求職者支援訓練で一般企業の経理を目指す方法は「職業訓練の事務系コース|取得できる資格・就職先・倍率を解説!経理や貿易事務も紹介」を参考にしてください。
職業訓練給付手当を受給した場合は課税される?
職業訓練給付手当を受給しても、課税されることはありません。
他に非課税になる手当・給付金は、以下のとおりです。
- 失業保険
- 再就職手当
- 職業訓練の訓練延長給付金
- 職業訓練の受講手当
- 職業訓練の通所手当
- 職業訓練の寄宿手当
- 教育訓練給付
仕事をやめたらもらえるお金について詳しく知りたい方は「仕事を辞めたらもらえるお金10選|失業保険以外にもらえるお金・受給条件について解説」もチェックしてみてください。
雇用保険の加入期間がなくても職業訓練は受講できる?
雇用保険の加入期間がなくても、求職者支援訓練なら受講可能です。
求職者支援訓練では、自宅で受講できるeラーニング型の講座も豊富に用意されています。
そのため、地域で実施されていない訓練でも全国各地から応募できる点がメリットです。
求職者支援訓練校の「ジョブトレ」では、訓練に加えて「チャットでの質問対応」や「定期的なオンライン面談」などのサポートも充実しています。
税理士資格を取得するために経理や会計の基礎をオンラインで学びたい人は「オンライン(eラーニング)の職業訓練|授業内容と面接対策を紹介」も参考にしてみてください。
税理士資格は何歳まで取得できる?
税理士資格の取得には、年齢制限がありません。
参考:受験資格について|国税庁
ただし、長期高度人材育成コースは地域や訓練によって年齢制限がある場合もあります。
詳しくは受講する前に、地域のハローワークに確認してみてください。
職業訓練の年齢制限について詳しく知りたい方は「職業訓練に年齢制限はある?60歳以上の受講条件や受講状況」もあわせてご覧ください。
さいごに
本記事では、職業訓練で税理士を目指す方法について解説してきました。
税理士の専門講座があるのは、公共職業訓練の長期高度人材育成コースです。
ただし、長期高度人材育成コースは倍率が高く、地域によっては開講されていない可能性もあります。
また、税理士として活動するには、通算して2年以上の実務経験が必要です。
そのため、未経験から税理士を目指すなら、職業訓練を活用して一般企業の経理に転職することも一つの手段です。
求職支援訓練校の「ジョブトレ」では、自宅からオンラインで経理や会計の基礎が身に付きます。
訓練に加えて「キャリアの相談」や「自己分析ができる授業」もおこなっているので、充実した転職サポートを求める人に向いている職業訓練校です。
気になる方は、以下のリンクからLINEに登録して、受講できるか診断してみてください!
一覧へ戻る監修者
平原正浩
ワークキャリア株式会社 求職者支援訓練 本部運営チームリーダー
ワークキャリア株式会社の本部にて、職業訓練校「ジョブトレ」の運営業務全般を統括する。主な業務は訓練制度の把握や訓練運営体制の整備、開校申請など。
ライター
いしい ゆうすけ
Webライター
ワークキャリア株式会社の求職者支援訓練事業「ジョブトレ」にて、SEOメディアの執筆を担当。過去に販売職から営業職への転職経験あり。自分自身が悩みながら行動した経験をもとに、読者の問題解決につながる記事を目指して執筆している。