職業訓練の「通所手当」とは|対象者や支給条件について訓練校が解説
職業訓練の受講期間中は、条件を満たせば訓練校までの交通費として「通所手当」が支給されます。
通所手当の制度を活用すれば、職業訓練中のお金の不安が軽減されます。
また、行きたいけれど自宅から遠くて交通費がかかってしまう訓練校にもチャレンジできるかもしれません。
この記事では、職業訓練中に受けられるさまざまな手当の中から「通所手当」を取りあげ、支給の対象者や支給条件などについて紹介します。
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目次
職業訓練の「通所手当」とは
「通所手当」とは、職業訓練校に通うためにもらえる交通費手当のことです。
通所手当は自宅から2㎞以上の距離があり、電車やバス、車などを利用する場合に受けられます。
ただし、徒歩通学の場合や自宅からの距離が2㎞未満の場合は支給されません。
また、もらえるとしても通学の方法によって受け取れる金額が変わるなど細かいルールがあります。
通所手当を受け取れる場合と、受け取れない場合の要件を簡単にまとめると次のようになります。
通所手当を適切に利用するために理解しておくべきことを、以下で解説していきますね!
職業訓練の「通所手当」を受け取れる対象者
職業訓練を受ける方が全員「通所手当」をもらえる訳ではなく、対象者が決まっています。
対象者は次の3つのパターンがあり、いずれかひとつに該当している必要があります。
①雇用保険(失業保険)の受給対象者
②職業訓練受講給付金の支給対象者
③職業訓練給付金の対象者とならない人で収入が一定額以下(本人収入月12万円以下、世帯収入月34万円以下)で他の支給要件を満たす方
まずは、通所手当の支給対象者となる上記3つのパターンについて、満たすべき条件と合わせて解説します。
①雇用保険(失業保険)の受給対象者
職業訓練は雇用保険(失業保険)を受給しながら訓練を受けられます。
「公共職業訓練」の場合、雇用保険(失業保険)をもらいながら受講する方は、通所手当がもらえる場合があります。
「場合がある」と書いているのは、通所手当をもらうには一定の要件を満たす必要があるからです。
手当を受給するには、職業訓練の受講が決まった時点でハローワークに申請の手続きをします。
そのうえで訓練期間中のハローワーク来所日に必要書類を提出すると、手当を受け取ることができます。
②職業訓練受講給付金の支給対象者
雇用保険を受給していない方を対象とした「求職者支援訓練」では、要件を満たせば月10万円の職業訓練受講給付金を受給できます。
さらに一定の条件を満たしていれば、職業訓練受講給付金の他に「通所手当」も受け取ることができます。
職業訓練受講給付金を受給するには、次の8つの支給要件を満たしている必要があります。
- 本人の収入月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ意外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、不正行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けたことがない
さらに、訓練期間中は支給単位期間である1カ月ごとにハローワークに行き、職業相談を受けて給付金の申請を行わなければなりません。
職業訓練受講期間中に上記の要件を満たさなくなった場合や、毎月のハローワーク来所日に来なかった場合、給付金が途中で打ち切りとなることもあるので注意しましょう!
③2023年4月から求職者支援制度における「通所手当」の支給対象が拡大
これまで通所手当は、雇用保険や給付金の支給対象者に限って支給されるものでした。
しかし、2023年4月の求職者支援制度改定にともない、求職者支援制度における通所手当の支給対象が次のように拡大されました。
【引用】
”給付金(月10万円)の支給対象とならない者についても、収入が一定額以下(本人収入月12万円以下、世帯収入月34万円以下)で他の支給要件を満たす方は、通所手当を支給”
職業訓練の「通所手当」の支給条件
職業訓練でもらえる「通所手当」の支給条件は、以下の記事に分かりやすくまとめていますのでご覧ください!
関連記事:「職業訓練中にもらえる交通費の支給条件」(職業訓練中にもらえる交通費|支給条件・車や自転車の場合など解説)
職業訓練の「通所手当」の支給額
ここからは、気になる通所手当の支給額について重要なポイントをまとめて紹介します。
また、通所方法ごとに受け取れる金額の違いの具体的な説明は、以下の記事に事例を交えて解説しているのでぜひ参考にしてみてください!
関連記事:「職業訓練中にもらえる交通費の支給金額」(職業訓練中にもらえる交通費|支給条件・車や自転車の場合など解説)
車や自転車か公共交通機関(バス・電車)で支給金額は変わる
通所手当の支給額は、通所方法によって金額や支給上限が変わります。
通所方法ごとの支給額のポイントについてまとめたものが次の表になります。
通所方法 | 支給額のポイント |
公共交通機関(バス・電車) | ・上限は1カ月42,500円 ・1カ月分の定期代が支給される (月の途中からの開講・修了した場合は、1カ月の定期代を日割りで 支給) ・最短距離かつ最も交通費が安くなるルートで支給される |
自転車・車・バイク | ・自宅から訓練校までの距離によって支給額が変わる ・片道2㎞未満は対象外 ・片道2㎞~10㎞未満は月額3,960円 ・片道10㎞以上は月額5,850円 ・厚生労働大臣指定地域に住んでいて片道15㎞以上※は月額8,010円 |
徒歩 | 支給無し |
※参考:厚生労働大臣指定地域
日割り支給になる場合
通所する回数が少ない場合の通所手当は、日割り計算での支給となります。
- 1カ月の通所手当÷その月の通所日数=1日あたりの通所手当
- 1日あたりの通所手当×実際に通所した日数=その月に支給される通所手当
職業訓練の「通所手当」はいつ・どのように支給される?
通所手当は月末締めで、翌月の半ばごろにハローワークで申請した銀行口座に、基本手当と一緒に振り込まれます。
詳細は下記の記事の見出し「職業訓練の交通費はいつ支給される?」をご覧ください。
関連記事:「職業訓練の交通費はいつ支給される?」職業訓練中にもらえる交通費|支給条件・車や自転車の場合など解説
職業訓練の「通所手当」の注意点
続いて、通所手当を適切に受け取るために注意しておくべきポイントについて紹介します。
定期券は必ず申請したルートで購入する
電車やバスなどの公共交通機関で通学する方は、定期券の購入が必要です。
当たり前のことですが、定期券は必ず申請したルートで購入しましょう。
職業訓練受講中は、定期券の定期チェックが実施される場合があります。
「電車で通学するルートで申請をしたのに、車できている」などといった不正受給の防止のためです。
定期券に関する注意点については、以下の記事の見出し「定期券の購入で注意したいポイント」で詳しく説明しています。
関連記事:「定期券の購入で注意したいポイント」職業訓練中にもらえる交通費|支給条件・車や自転車の場合など解説
通学ルートが変わる場合は必ず変更の手続きをする
引っ越しや家庭の事情などで通学ルートが変わる場合は、ハローワークにて必ず変更の手続きをおこないましょう。
変更に必要な書類はハローワークで交付されます。
通学ルートが変更したにもかかわらず、変更手続きを行わず通所手当を多く受け取っていた場合は不正受給となってしまいます。
また、新しい通学ルートの方が交通費が高くなっている場合は自己負担分が増えて損してしまいますよね。
事前に分かっている場合は、なるべく早めにハローワークに相談しましょう!
職業訓練の「通所手当」欠席したときの支給は?
「欠席したときは通所手当の支給はどうなるの?」と気になる方は多いと思います。
基本的には「やむを得ない理由」以外の自己都合で欠席した場合は、その日の手当は支給されません。
やむを得ない理由で休む場合は手当が支給されますが、証明できる書類(通院なら病院でもらう領収書の写しなど)を必ず訓練校に提出する必要があります。
【やむを得ない理由の例】
・体調不良による通院のため
・親族の冠婚葬祭への参加のため
・実の子どもの入学式や卒業式への参加のため
やむを得ない理由にあてはまっていても、証明できる書類がない場合は自己都合と判断される場合があるので注意しましょう。
特に「求職者支援訓練」における給付金対象の方は、自己都合で欠席した場合、1ヵ月分の給付金(月10万)が不支給になってしまう可能性があるため注意が必要です。
さらに大前提として「公共職業訓練」も「求職者支援訓練」も、総訓練時間数の8割以上出席しないと退校処分となり、そうなると当然ですが通所手当も打ち切られます。
FAQよくある質問
「通所手当」の申請方法は?
通所手当を受け取るためには、次のような手続きが必要です。
1.お住まいの都道府県のハローワークにて求職の申し込みと職業相談をする
2.ハローワークが「職業訓練の受講の必要がある」と認めた場合、受講申込書をもらえる
3.受講申込書を記入し、希望の職業訓練に応募する
4.職業訓練の選考試験を受ける(面接や筆記)
5.合格したら、ハローワークで就職支援計画書の交付をうける
6.月に1度のハローワーク来所日に来所し、必要書類を提出する
それぞれのステップごとの具体的な説明は、以下の記事で丁寧に解説しているのでぜひ参考にしてください。
関連記事:職業訓練の申し込みの流れ8STEP|申込書の書き方や必要なものも解説
通所手当の計算方法は?
公共交通機関の場合は1カ月の定期代が支給され、車や自転車の場合は距離に応じた金額が毎月定額で支給されます。
「車と電車」「自転車とバス」といった組み合わせの場合は、それぞれの条件に当てはまる金額を足したものが1カ月の通所手当となります。(上限は月42,500円)
【組み合わせのときの交通費の計算方法】
距離に応じた金額(車や自転車)+1カ月の定期代(電車やバス)=1カ月の通所手当の金額
さらに具体的な事例は、下記の記事の見出し「職業訓練中にもらえる交通費の給付金額」で説明していますので、参考にしてみてください!
関連記事:「職業訓練中にもらえる交通費の給付金額」職業訓練中にもらえる交通費|支給条件・車や自転車の場合など解説
まとめ
今回は、職業訓練で受けられるさまざまな手当の中から「通所手当」を取りあげ解説しました。
通所手当について重要なポイントをおさらいします。
- 対象者は基本的には雇用保険受給対象者、職業訓練受講給付金の支給対象者
- 求職者支援訓練においては、給付金の対象外であっても、本人収入月12万円以下、世帯収入月34万円以下で他の支給要件を満たす方は通所手当を受けられるようになった
- 公共交通機関を利用する場合は、1ヵ月分の定期代が支給される(上限は月42,500円)
- 自転車や車を利用する場合は、自宅から訓練校までの距離によって金額が変わる
- 定期券は必ず申請したルートで購入する
- 基本的に「やむを得ない理由」以外の自己都合で欠席した日の通所手当は支給されない
通所手当の支給を受けるには手続きや細かいルールがありますが、この制度を活用すれば、
お金の不安が軽減され、職業訓練に集中して取り組むことができます。
職業訓練で得られるメリットを最大限受け取るために、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね!
一覧へ戻る監修者
平原正浩
ワークキャリア株式会社 求職者支援訓練 本部運営チームリーダー
ワークキャリア株式会社の本部にて、職業訓練校「ジョブトレ」の運営業務全般を統括する。主な業務は訓練制度の把握や訓練運営体制の整備、開校申請など。
ライター
いそべなおこ
ジョブトレ公式ブログライター/事務
ワークキャリア株式会社の求職者支援事業「ジョブトレ」にてSEOメディアの公式ライターを担当。選考面接官・事務業務にも携わる。未経験から事務職を開始した経験から、ジョブトレ事務養成科コースの職業人講話にも登壇している。