職業訓練の訓練延長給付金とは?条件や注意点をわかりやすく解説
失業保険(雇用保険)を受け取っている方が職業訓練を受講すると、受講期間中は「訓練延長給付」を利用できることがあります。
今回は、訓練延長給付金をもらえる条件と職業訓練のメリット、注意点を紹介します。
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目次
職業訓練を受講すると「訓練延長給付」を利用できる!
離職後に失業保険(雇用保険)をもらっている方は、一定の条件を満たしたうえで職業訓練を受講すると「訓練延長給付」を受け取れます。
訓練延長給付は受講期間中の生活を支援するもので、より多くの方に職業訓練を受けてもらい、再就職に役立ててほしいという意図があります。
「次は新たな職業にチャレンジしたい」「そろそろ次の仕事を考えないと」と思っている方は、ぜひ職業訓練の受講も選択肢に入れてみてくださいね!
参考資料:52301-52700 第13 給付日数の延長(P267~293)【24.4】(厚生労働省)
訓練延長給付をもらえる条件
訓練延長給付を利用できる条件は、以下のとおりです。
- ハローワークで職業訓練の受講指示を受けること
- 所定給付日数の2/3を終了する以前に職業訓練を開始すること
- 受講期間が2年以内のコースを受けること
- 過去1年以内に公共職業訓練を受講していないこと
失業保険(雇用保険)の所定給付日数の必要な残日数は、給付制限がある方とない方で異なります。
次の表を参考に、お住まいの地域のハローワークでご確認ください。
【必要な残日数】(個別延長給付の日数を除く)※スマートフォンを横向き表示にすると見やすくなります
所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 300日 | 330日 | 360日 |
必要な残日数 (給付制限あり) | 30日 | 40日 | 50日 | 60日 | 70日 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 210日 |
必要な残日数 (給付制限なし) | 支給終了まで | 支給終了まで | 30日 | 60日 | 70日 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 210日 |
職業訓練を受講するメリット5つ
「職業訓練ではなにをするの?」「どのようにプラスになるの?」と興味が湧いてきた方もいるのではないでしょうか。
ここでは、職業訓練を受講するメリットを紹介します。
- 目指す仕事に役立つ知識やスキルを無料で学べる
- 就職支援を受けられる
- 失業保険の給付期間(90日や120日)終了後もお金がもらえる
- 給付制限期間(待期期間)が免除される
- 失業保険の認定日にハローワークに行かなくてよい
1.目指す仕事に役立つ知識やスキルを無料で学べる
職業訓練を受講すると、再就職に活かせる知識やスキルを授業料無料(テキスト代や教材費は別途自己負担)で身につけられます。
未経験の職業や職種に挑戦しようと考えている方も、事前に知識を習得するとスムーズに仕事に取り組めるでしょう。
さらに、就職活動では意欲的な人物として企業に評価される可能性もあります。
現在は、eラーニングコースとして完全在宅で受けられる職業訓練もあり、通学が難しい方も制度を利用しやすくなりました。
2.就職支援を受けられる
職業訓練校では、スキルの取得のほかにも就職活動のサポートも受けられます。
たとえば、職業訓練校で受けられる就職支援には次のようなものがあります。
- キャリアコンサルタントによる個別相談
- 応募書類の添削
- 模擬面接
- 求人紹介
訓練校のサポートを上手に活用すれば、一人で就職活動をするよりも効率的に、早期の再就職を目指せるはずです。
3.失業保険の給付期間(90日や120日)終了後もお金がもらえる
職業訓練の受講期間中は、失業保険(雇用保険)の所定給付期間が終了しても、訓練が終了するまでお金をもらうことができます。
現在失業保険をもらっている方にとっては、大きなメリットといえますね。
もらえる金額は実際に働いているときの給与よりは少なくなりますが、なにかとお金がかかる離職期間には助かります。
4.給付制限期間(待期期間)が解除される
職業訓練を受講すると、失業保険(雇用保険)の待期期間が解除され、通常よりも早くお金をもらえます。
ただし、待期期間が惜しいからといって「とりあえず適当に職業訓練を受けてみよう!」と受講するのはおすすめできません。
いざ職業訓練が始まると、ハードな学習スケジュールについていかなければなりません。
職業訓練を受講するには、将来の目標や希望を明確にして、スピーディーに手続きを済ませる行動力が求められます。
5.失業保険の認定日にハローワークに行かなくてよい
職業訓練の受講中は、失業保険(雇用保険)の認定日のハローワークへの来所が免除されます。
ただし、代わりにコースごとに定められた月1回の「指定来所日」にハローワークで職業相談をおこなう必要があります。
来所日は職業訓練が休みになるため、無理なく足を運べるはずです。
職業訓練を受講するときの注意点
続いて、職業訓練を受講するときに気をつけたいポイントを紹介します。
- 目指す職業をよく考えてから受講する
- 受講中の生活費の見通しを立てる
- 給付金の対象になるか確認する
受講の目的を明確にし、不明点があればハローワークに確認したうえで職業訓練に応募しましょう。
目指す職業をよく考えてから受講する
職業訓練を受講するときは、将来就きたい職業をよく考えてから受講しましょう。
いざ受講してみると、定められた期間内に専門知識を習得するため、想像以上にハードだと感じるでしょう。
訓練延長給付金をもらうために「とりあえず」職業訓練を受講すると、後悔してしまうこともあります。
受講中の生活費の見通しを立てる
職業訓練に応募する前に、経済的に受講中の生活が成り立つかどうかを確認しておきましょう。
現在の貯金と給付金、アルバイトなどの収入をあわせて生活できるかを計算します。
次の記事では、職業訓練受講中のアルバイトについて詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:職業訓練を受けながらバイトはできる?条件や注意点もあわせて解説
訓練延長給付の対象になるか確認する
職業訓練に応募する前に、訓練延長給付の条件を満たしているかを確認しましょう。
条件を勘違いしてしまうと、受講後に「こんなはずじゃなかった!」と後悔することもあります。
あいまいな部分はハローワークに確認し、疑問をクリアにしたうえで職業訓練に応募しましょう。
職業訓練を受講したいときの手続き方法
離職された方は、お住まいの地域のハローワークに足を運び、失業保険(雇用保険)の受給手続き(求職申込)と職業相談をおこないます。
ハローワークの職業相談で「就職の意思があり、職業訓練の受講が必要」と判断されれば、職業訓練の受講指示が出ます。
その後、職業訓練校の選考試験をクリアし、晴れて職業訓練に受講できます。
職業訓練の申し込みのフローや受講申込書の書き方、面接試験のポイントなどを詳しく紹介しているので、あわせて活用してくださいね!
関連記事:職業訓練の申し込みの流れ8STEP|申込書の書き方や必要なものも解説
FAQよくある質問
訓練延長給付金は、失業保険の残日数が足りないときはどうなる?
失業保険の残日数が基準に満たない方は、ハローワークで受講指示ではなく「受講推薦」をされる場合があります。
しかし、受講推薦の場合は訓練延長給付・受講手当・通所手当の支給がなく、さらに認定日にハローワークで失業認定を受ける必要があります。
残日数が足りない方は、失業保険(雇用保険)を受給できない方向けの「求職者支援訓練」も視野に入れてコース選びをするとよいでしょう。
失業保険をもらいながら職業訓練を受けるといくら支給される?
失業手当の金額は離職前の賃金と年齢によって異なり、前職の賃金の45%~80%となります。
一般的に、前職の賃金が高いほど給付率は低くなり、前職の賃金が低いほど給付率は高くなります。
職業訓練の受講を検討している方は、支給される手当と必要な生活費を計算し、受講中の生活が成り立つかどうかを確認しておきましょう。
参考資料:LL050726保01_雇用保険法改正リーフ(厚生労働省)
失業保険(雇用保険)のお金はいつ振り込まれる?
職業訓練の訓練延長給付の場合は、毎月15~20日を目安に指定の口座に振り込まれます。
職業訓練の場合は、授業の出席日数に応じて支給額が算出されます。
修了要件として受講期間の8割以上の出席が必要になるため、実際に通学できそうどうかも応募前に確認しておきましょう。
職業訓練校を中途退所した場合、もらえるお金はどうなる?
就職以外の理由で職業訓練校を途中退校した場合は、退校日以降の受講手当、通所手当、訓練延長給付は支給されません。
ただし、妊娠や長期入院(30日以上働けない)が理由の場合は支給単位期間まで支給されることがあります。
また、退校後も失業保険(雇用保険)の所定給付期間が残っていれば、その分の基本手当は受給できます。
訓練延長給付は最長いつまでもらえる?
職業訓練の受講途中に失業保険の所定給付日数が終了しても、職業訓練を受講している間(最長2年)は給付期間が延長されます。
ただし、1年間以上や2年間などの長期にわたるコースを選ぶ場合は、生活費の見通しを立てたうえで申し込みましょう。
さいごに
失業保険(雇用保険)を受け取っている方は、条件を満たしたうえで職業訓練を受講すると「訓練延長給付」を利用できます。
職業訓練を受けるメリットは次の通りです。
- 目指す仕事に役立つ知識やスキルを無料で学べる
- 就職支援を受けられる
- 失業保険の給付期間(90日や120日)終了後もお金がもらえる
- 給付制限期間(待期期間)が免除される
- 失業保険の認定日にハローワークに行かなくてよい
職業訓練校を賢く活用して、自分にぴったりの仕事への再就職を目指しましょう!
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一覧へ戻る監修者
平原正浩
ワークキャリア株式会社 求職者支援訓練 本部運営チームリーダー
ワークキャリア株式会社の本部にて、職業訓練校「ジョブトレ」の運営業務全般を統括する。主な業務は訓練制度の把握や訓練運営体制の整備、開校申請など。
ライター
せらさとこ
ジョブトレ公式ブログライター
ワークキャリア株式会社の求職者支援訓練事業「ジョブトレ」にて、選考試験面接官とSEOメディアの執筆を担当。過去に販売職から事務職への転職経験あり。読者の本音に寄り添いながら、疑問を解決できる記事を目指して日々奮闘中。